ゼネコンの採用担当者が答えます。
「ゼネコンはブラックだ」「建設業界は3Kだ」という話をよく耳にします。
高度経済成長期の日本を支えてきた裏側では確かに超過労働などもありましたが、
今では是正が進み、着実に働きやすい環境へと変わってきています。
ここでは、ゼネコンはブラックと言われるおもな理由と、それぞれについて「最近もブラックのままなのか?」を、採用担当者視点でご紹介します!
三和建設
採用担当:杉井さん
一概にブラック企業といっても、抱くイメージは人それぞれ。ですが、ブラック企業には定義があるんです。
2000年代初頭に「ブラック企業」という言葉が流行り、世間に定着してから随分と長い時間が経ちました。
労働環境の改善に取り組む厚生労働省では、ブラック企業を「若者の使い捨てが疑われる企業」と呼称し、その特徴を3つ挙げています。
また、2012年~2019年に話題となった「ブラック企業大賞」では、以下の11項目を指標として挙げていました。
長時間労働・ハラスメント・いじめ・長時間過密労働・低賃金・コンプライアンス違反・育休産休制度の不備・労組への敵対度・派遣差別・派遣依存度・残業代未払い(虚偽の求人票)
一般的に、上記に該当する企業がいわゆる「ブラック」といわれており、行政や労働組合が指導していく必要があります。
これらを踏まえて、ゼネコンや建設業の実態について確認してみましょう。
大学生1,000人を対象にした、建設業界のマイナスイメージ調査(アンケート)では、「残業・休日出勤が多い」「給料が低い」「清潔感がない」「昔ながらの文化や習慣が多い」などが上位となりました。
この5つのブラック要因について、なぜそう思われているのか・現状のゼネコンはどうなのかを解説していきます!
まず労働時間について、建設業界の2022年度の年間実労働時間は1,986時間であり、全産業平均と比べるとひと月あたり22.3時間長く、長時間労働が問題視されているのは事実です。
ゼネコン大手5社(スーパーゼネコン)ではその2倍以上になることもあり、労働時間の長さがブラックイメージの根幹とも言えそうです。
建設業は、納期に向けてあらかじめ厳格なスケジュールのもと工事がスタートするものの、天候によって工期を伸ばさざるを得ないケースも多く、どうしても追い込みで土日返上の作業が発生してしまいます。
また休日に関しては、「4週8閉所≒週休2日」を達成できている現場は2020年度時点では3割程度であり、現場の稼働率が高いことを示しています。
現在建設業では、官民連携でこの「4週8閉所」を目指して指導・取り組みを行っており、下記のように改善が見られています。
残業と閉所のデータだけではイメージは覆せませんが、年間労働時間の合計は2016年~2022年の6年間で115時間も短縮※1されており、Openworkの調査では2012年~2021年の10年間でもっとも残業時間の減少幅が大きかったのが「建設業」というデータ※2もあります。
また休暇取得率も上昇しており、2013年~2022年の10年間で14日間も増加※3。
働き方改革によって現在進行形で改善されていることが分かります。
労働環境の改善背景には、「2024年問題」への対応や、「働き方改革関連法」によって時間外労働の上限規制が適用されたことが大きな要因になっているほか、今後は4週8閉所が基準となるように「残業でカバーするような工期設定にしない」「施行時期を標準化して繁忙期を減らす」といった国土交通省の働きかけも後押ししています。
令和のゼネコンは、
リアルタイムで
ブラック脱却中!
以前から問題視されてきたゼネコンの労働環境。
ブラック業界というイメージ払拭のため、そして何より社員の働きやすさのため、業界全体で対策がなされています。
弊社でもテレワークの導入や、20時以降は会社のPCが自動的にシャットダウンされる仕組みなどを取り入れ、月の平均残業時間は23.6時間に!
(施工管理職の平均は30.0時間)※
社員の定着率も9割以上と、働きやすい環境を整えています。
採用担当:杉井さん
労働環境が劣悪で給与も低ければ、本当にだれもやりたがらなくなってしまいます。
令和5年賃金構造基本統計調査のデータ※によると、建設業の新卒の給与は約23.5万円と、全業種平均と比べるとやや高く、ブラック感は感じられません。
各年齢層別の賃金比較を見ても、全年齢において平均を上回る結果となり、少なくとも長時間低賃金で働かされる例は少ないであろうことが分かります。
年齢別にみる建設業の平均賃金および全業種平均との差 | ||
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年齢層 | 建設業の賃金 | 全業種平均の賃金 |
~19歳 | 20.02万円 | 18.71万円 |
20~24歳 | 23.46万円 | 22.96万円 |
25~29歳 | 27.32万円 | 27.28万円 |
30~34歳 | 31.46万円 | 30.33万円 |
35~39歳 | 34.56万円 | 33.65万円 |
40~44歳 | 37.50万円 | 36.89万円 |
45~49歳 | 40.96万円 | 39.97万円 |
50~54歳 | 44.65万円 | 42.26万円 |
55~59歳 | 45.35万円 | 43.99万円 |
60~64歳 | 37.11万円 | 35.75万円 |
65~69歳 | 32.24万円 | 31.35万円 |
ちなみに、ゼネコンに多い「施工管理職」では、日本の平均年収と比較しても高い445万円というデータもありました。
給料が低いというのはあくまでイメージだけで、実態はまた違うようです。
汗水垂らして重いものを運ぶ姿や、泥やコンクリートまみれの作業服、危険な高所作業…といったイメージが根強く残ってしまっているのもブラックと言われる理由の1つです。
と言っても、建設は屋外土木作業が当たり前なので、汗をかいたり作業着が汚れることは致し方ないと言えます。
最近は、ファン付きの作業着などで熱中症対策がされたり、極力人が介入する作業を減らしたり、重機の進化などが進んでおり、昔ほど「3K」ではない現場も増えてきています。
また、現場の実作業を担当するのは主に職人さんで、現場のゼネコン社員(この場合、施工管理職などを指します)が実際に作業を手伝うシーンはそれほど多くありません。
労災件数が多いイメージがあるかもしれませんが、死亡災害は直近50年で1/9にまで大幅減少し、他の全産業の死亡災害数と比べても低い数字となっています。
主な原因である墜落・転落事故を防止するため、足場点検をより強化する法令や、安全衛生費を確保するよう義務付ける法令などの施行を予定しているほか、現場でも危険な作業は無人・遠隔で行える機械を導入するなど、安全管理を徹底する動きが加速しています。
許可申請が多い建設業では、書類の種類も膨大で、特に中小企業や地方のゼネコンではペーパーレス化が遅れているところもあります。
また、昔ながらの職人文化が色濃い現場においては行き過ぎた指導がハラスメント問題となり、トラブルにつながることも少なからずあるようです。
これらの問題の原因はずばり労働人口の高齢化で、若い人材が不足しがちな現場では新しい仕事の進め方やツールがなかなか浸透していかず、アナログな作業が多く残されたままになってしまいがちです。
高齢化や独特の文化に対して現代の価値観が合わない部分も多少あるかもしれませんが、しっかりとコミュニケーションを取ることで解決できるほか、「先進的な取り組みを行っているか」「パワハラが横行している古い体質の職場ではないか」は就活を進めていく中で見極めていくとよいでしょう。
実はゼネコンをはじめとする建設業は、労働人口の高齢化や担い手不足をDXの活用で打破するため、積極的に生産性改善に取り組み、成果を出している業界でもあります。
労働生産性上昇率と労働投入量の増減をあらわした次のグラフでは、他業界を圧倒して建設業がもっとも効率化を図れていることが分かります。
※左上に位置しているほど、少ないリソースで生産性を上げている業界です。
なんとなくアナログなイメージが先行しがちですが、「生産性アップ&労働量ダウン」の両立をリードしている建設業。
具体的にどのような取り組みを行っているのか、事例をいくつかご紹介します。
ドローンを用いて高所の外壁調査を行い、それによって得た画像などのデータをAIで処理することで、人が危険を冒さずとも精確なデータを短期間で得られるようになりました。
高層建造物だけでなく、山間部の危険なエリアなど、様々なシーンで活用されている技術です。
電子端末を現場の作業員ひとりひとりが携帯する、あるいは拠点に置くことで、現場⇔本部間の連携や、現場同士のコミュニケーションも進化しました。
音声通話だけでなくリアルタイムで画像や動画で状況を把握したり、必要なデータを送付したりと、情報伝達の質とスピードが向上し、生産性を高められています。
現場に行かずとも離れた場所から臨場を行う「遠隔臨場」も当たり前になってきました。
複雑化した体躯や配管を確認するのが難しい現場の負担を減らすために、建物のBIMデータ(3D情報)とライブ映像を合成してARで可視化し、データと実際の状況の照合が容易となりました。
コロナ禍やウッドショックの影響で建設業全体の受注が減り、今後も不安定なのではないか?という懸念に対して回答します。
市場全体の業績を測る参考値として「建設投資額」の推移を見てみると、2012年の42兆円からゆるやかに伸び続け、2023年は70兆円に達する見込みです。
住宅建築は微増/非住宅建築は微減となっていますが、過去10年を通して構成比は大きく変化していません。
さらに、AIによる業界分析と予測※では、国内の市場規模はゆるやかに増加し続け、2029年には+2.9%まで成長する見込みです。
近年は物価も高まっており、日本のインフラ増築や老朽化改修など、「需要は無くならないものの人手不足は進む」という状態が続きます。
コロナ禍で一時的に工事の中止や延期はあったものの、今後は仕事にあぶれてリストラされるといった懸念とは無縁の業界であると考えられます。
これまで「ゼネコンはブラックか」について調査・解説してきましたが、実際にブラックだったら、新卒の離職率も高くなるはずです。
厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、就職後3年以内の離職率は業界全体で32.3%であるのに対し、建設業は30.1%と、全体平均よりも低い値です。
ブラック企業に厳しい昨今の若者=新卒の離職率が低いことは、「イメージほど悪くなかった」「入ってみたら実際ブラックじゃなかった」というケースが多いと予測できます。
マイナスイメージの多いゼネコンをはじめとする建設業ですが、改めてデータを調査してみると「実際そうでもない」会社が多いのが実態と言えるのではないでしょうか。
業界イメージだけで敬遠するのではなく、結局は会社の見極めが重要なのです。
食品工場・物流倉庫といった設計/施工難易度の高い建造物を得意としている三和建設。
1947年の創業より75年以上にわたって社会基盤を造り続けてきました。
そんな三和建設は、土日祝の平均閉所率(=お休み)92.8%を達成し、
週休2日体制を確立しつつあります(2023年度実績)。
20時以降はPCが自動でシャットダウンされるなど働きやすい環境づくりを追求した結果、
2021年「働きがいのある会社」ランキングで7年連続ベストカンパニー※として選出。
三和建設の働きやすさの取り組みについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下のページもご覧ください!
採用担当:
杉井さん・森本さん